
相続対策における「節税対策」と「分割対策」|相続
<目次>
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.相続対策は節税対策?
- 3.相続税の控除のおさらい
- 4.二次相続を考慮する
- 5.節税対策より分割対策
- 6.おわりに
はじめに
皆さん、こんにちは!
オリバー 相続コンサルタントの名児耶です。
今回は、相続対策における「節税対策」と「分割対策」についてお話しします。
相続対策は節税対策?
相続をする方もされる方も、相続発生時に相続税がいくらかかるのかは、気になるところだと思います。そうしたニーズに応えるため、現在出版されている相続対策の本や雑誌記事、相続対策のセミナーでも、そのほとんどが「節税」に主眼をおいていると言っても過言ではありません。
相続税は相続開始後10か月以内に相続人自らが申請し、同時に納税まで済ませてしまわなければなりません。また、相続税は現金一括で納付が原則ですので、納付する現金がなければ、「延納」という分割払いにするか、「物納」という財産そのもので納税することになります。
ご両親が築いた財産は守っていきたいが、多額の現金を支払うのも気が進まない。そうなれば相続税が最も安くなるような遺産分割方法を見つけ出し、その通りに相続対策をする…というのもひとつの手ではあります。
しかし、節税だけを重視していると後々問題が起こるケースが少なくありません。また、相続税がかからないからと言って、相続対策が不必要になるわけでもありません。
相続税の控除のおさらい
ここで、この問題を考える基礎知識として、相続税の基本的な2つの控除を確認しておきましょう。
まず1つ目として、相続税の基礎控除です。相続税は基礎控除額以下だと課税されません。
基礎控除の計算式は 3,000万円+600万円×法定相続人の数 です。
例えば、相続人が配偶者と子供3人の計4人である場合には、3,000万円+600万円×4人 = 5400万円までが非課税となります。
2つ目が配偶者控除です。
配偶者の「法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか高い金額までの取得分に相当する税額が非課税となります。
例えば、相続財産が20億円の場合、配偶者の法定相続分の1/2まで(つまり10億円)が非課税となります。相続財産が3億円である場合には、1億6,000万円までが非課税となります。(税額の軽減制度は他にも色々とありますが今回は割愛します)
二次相続を考慮する
節税対策を主眼において、この配偶者控除を最大限に利用し、不動産を共有名義で相続させる事がよくあります。唯一の財産である実家などの不動産を、相続人である配偶者と子供3人の計4人で共有し、配偶者の持分割合を配偶者控除の上限額と等しくなるように設定するのです。
もちろん、このような相続をすることは可能ですし、確かに相続税が一番安くなる相続方法です。
しかし、このやり方では、二次相続が発生したとき(配偶者が亡くなった時)に、配偶者の持分価格に一気に相続税がかかってしまいます。
また、配偶者死亡後は子供3人の共有になりますが、1つの不動産を3つに分けることは事実上不可能で、実家に住めるのは一家族だけです。
すると、持分はあるのにその利益を享受できない他の2人には当然不満が残ります。
そうなると、持分割合による家賃収入の取り分を請求されたり、実家を処分する際にもなかなかうまくいかなかったりします。共有物は、共有者全員の同意がないと処分行為は行えないからです。
財産の分割をめぐって兄弟仲に亀裂が入り、仲の良かった兄弟が、互いに悪口を言い合うような仲になってしまった…というケースは少なくありません。
節税対策より分割対策
このような問題を発生させないため、相続対策においては、節税対策を主眼に置くよりも、分割対策を主眼におく事をお勧めします。兄弟姉妹も、親がどのような考えや思いで財産を分割したのかを理解できれば納得しやすいものです。
例えば、長男に家を継がせ守ってもらいたければ、相続税はかかりますが長男へ単独相続させます。そして他の相続人には代償金を支払う方が後々生じる問題は少ないでしょう。
このことは、相続税がかからない場合でも同様です。
相続税を主眼において相続対策を考えると、相続税がかからないと分かった時点で対策を終えてしまいがちです。しかし、本当に大切なのは「分割対策」です。誰に何をどのような思いで遺すのか。今一度見直されてみてはいかがでしょうか。
おわりに
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