
知っておきたい 相続対策の路線価上昇による影響
<目次>
はじめに
2026年の相続路線価が発表されました。路線価は相続税や贈与税の算定基準となるため、オーナー様にとって将来の資産承継に直結する重要な指標です。今回は、路線価の動向と納税資金や遺産分割といったオーナー様に知っていただきたい実務的な課題を整理いたしました。
相続路線価は5年連続上昇
2026年の路線価の全国平均(標準宅地)は対前年比+2.9%となり、5年連続で上昇幅が拡大しました。これは現行の算定方式となった2010年以降で最大の伸び率です。首都圏では上昇傾向がさらに顕著で、東京都が+9.4%、神奈川県が+4.5%となっています。町田・相模原エリアの税務署管内における最高路線価を見ても、町田(原町田)は前年比+4.6%(2,490千円/㎡)、相模原(相模大野)では昨年(+16.3%)に続き、今年も+14.0%(1,300千円/㎡)と大幅な上昇を記録しました。再開発や利便性向上を背景に、主要エリアでは路線価の上昇に伴い、土地の相続税評価額も上昇傾向にあります。

「相続税」および「保有コスト」への影響
路線価の上昇は、そのまま「相続税評価額」の上昇を意味します。現在、相続税額を試算すると5年前よりも高くなったり、基礎控除額を超えて相続税が発生する可能性が出てきます。
また、2027年には3年に1度の固定資産税の評価替えが行われます。現在の地価上昇が評価額にも反映される可能性があり、年間数万円程度の税負担が増えると、増税分は少額ですが、収益を確実に圧迫することになります。
路線価の上昇で見落としがちなリスク
路線価の上昇は資産価値が高まる一方で、相続実務においては次の2つの課題を生みやすくなります。
・納税資金
土地の評価額が上がると当然に相続税額も増えます。これにより相続税を納めるのに現金が足りなくなるという事態を防ぐための考慮が重要で、事前に納税資金の確保(生命保険の活用や売却用土地の選定など)を検討しておくと大切な資産を安心して引き継ぐことができます。
・遺産分割
地価上昇により、相続財産に占める不動産の割合が高くなります。相続人が複数いる場合、土地を引き継がせたい相続人がいても、他の相続人に支払う代償分割のための現金の裏付けがないと分割協議は難航する傾向にあり、引き継ぐ土地以外の土地は売却などの検討を要します。
また、引き継ぐ予定のない土地の事前整理として次世代が管理できない遠方の土地などは、地価が堅調な現在、売却を検討しやすい環境です。現金化しておくことで、納税資金に充てられるほか、遺産分割もスムーズになります。
路線価上昇への堅実なアプローチ
・既存アパートの「満室維持」の重要性
更地に賃貸住宅を建築し「貸家建付地」として評価額を下げる手法は定番の相続税対策ですが、現在では建築費全体が膨らんでいることに加え、金利上昇によってローンの返済額が年間数十万円以上増えるケースもあり慎重な検討が必要です。一方、ご所有の賃貸物件の入居率(賃貸割合)を高めておくことで、相続税評価額を下げることができます。また、満室経営によって手元の現金(納税資金)を蓄えることにも繋がります。
安定経営のポイントの一つとして、突発的な事故や環境変化をコントロール可能な状態にしておくことが挙げられます。
現状のご確認を
特別な対策を急いで行う必要はありませんが、土地の評価額が上がっている現在は、「相続税を納めるだけの現金があるか」「相続財産が分けやすい状態になっているか」という視点で対策を見直してみることが大切になります。以下の項目に当てはまる方は、近年の地価変動や税制改正を踏まえ、現状を確認されることをお勧めいたします。
□ 相続税の試算を3年以上行っていない
□ 更地や駐車場を所有している
□ 築30年以上の賃貸住宅を所有している
□ ご所有地の評価額合計が1億円を超える
□ 引き継ぐ予定がない土地を所有している
地価上昇などの変化に応じた事業承継対策の見直しにつきましても、当社へご相談いただければと思います。





