建物施工不備による民法上の責任
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東京都八王子市でアパートの外階段が崩落して入居者が亡くなる事故が発生しました。他人事ではないとご不安をお持ちのオーナー様の多くいらっしゃるかと思いますので、まずはこの事故に関する5月時点の現況と法的関係についてご案内させていただきます。
国交省・自治体による対象物件の調査
事故が起こったアパートは築8年と新しい為崩落するほどの経年劣化は考えにくい状況です。施工業者は東京都・神奈川県で同様のアパート166棟を手掛けたことが分かっており、同社の目視調査で57棟が劣化などの理由から改修が必要と報告しており6月以降に調査が開始される予定です。
また国交省が専門家と共に施工不備の疑いのある6物件について現地調査を行ったところ、いずれも外階段の接続部分の腐食が確認されたとのことです。現地調査をしたいくつかの物件では、建物の一部を壊して早急に詳細な検査を行う必要があり、現状のままでは入居者の生活に支障が及ぶ状況であるとしています。
これを受けて同社が施工したアパートがある自治体も調査しています。調査対象が62棟ある相模原市では全棟の目視調査を完了し、全棟で問題がなかったと発表しています。
但し、国交省と自治体による調査は目視による調査であり内部の腐食を把握することはできない為その可能性を踏まえ物件所有者に点検を行う様注意喚起を行っています。安全を確保する為には点検口等を設置しそこから建物内部の状態を点検する必要があります。
事故の法的関係
今回の事故では、警視庁が既に業務上過失致死の疑いで施工業者への捜査を始めています。
一方、民事上の責任においては過失がなかったとしても物件所有者が被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります(民法717条・工作物責任)。物件の管理会社については、建物管理に関して過失があった場合に賠償責任を負う形となります。
これに対し物件所有者は施工会社へ求償したり、施設賠償保険に加入していれば保険金を請求できる可能性があります。
また建物の改修を行う場合、事故があった物件は2009年10月以降の物件なので住宅瑕疵担保責任保険の加入が売主や請負業者に義務付けられていた時期であり、屋根や外壁、柱や基礎等保険がカバーする対象の場所の改修であれば負担を軽減できる可能性がありますが、今回事故が起こった共用階段は対象外となります。また改修に伴う引越し等の借主の損害も貸主が負う形となります。
今回、事故の発生以降に施工会社が自己破産を申請しており、これら損害への対応や補償について懸念されています。
賃貸経営のリスクを軽減するパートナー
こうした事故の状況を想定した場合、オーナー様お一人で対処するには掛かるご負担は大変大きく、建物と入居者への対応を迅速に且つ正確に行える賃貸経営のパートナーがいることは重要なことです。
オリバーは管理会社として一級建築士による建物管理と不動産経営管理士による入居者管理の両面からオーナー様と入居者様双方の立場に寄り添いサポートする体制を整備しており、これをもって安定経営をお手伝いしております。