
その名義預金、大丈夫ですか?|相続
<目次>
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.名義預金とは
- 3.銀行調査で発覚
- 4.税務調査は本当にくるの?
- 5.名義預金とみなされないために
- 5.1.両者の認識の合致とは
- 5.2.管理処分権限の移行とは
- 6.おわりに
はじめに
皆さん、こんにちは!
オリバー 相続コンサルタントの名児耶です。
今回は、名義預金についての情報をお届けします。
名義預金とは
私どもが、相続相談でオーナー様からお話をお伺いすると、相続対策としてお孫さんのために、暦年贈与110万円の非課税枠以内で、お孫さんの口座に毎年お金を入れている方がいらっしゃいます。これが名義預金と言われるものです。
オーナー様のお気持ちとしては、お孫さんに毎年あげている(贈与している)つもりでも、いざ相続となったときに、口座の真の所有者はオーナー様(被相続人)だと判断されてしまうと、この名義預金は相続税申告の対象となってしまいます。誰にも言っていないからばれないでしょう?と言われる方がいらっしゃいますが、相続税の税務調査でこの名義預金の申告漏れを指摘されるケースは多数あります。
銀行調査で発覚
相続税の税務調査では、被相続人や相続人等の預金口座を調べるための銀行調査が行われることがあります。課税価格の大小にかかわらず、多くの事案で銀行調査が行われていると言われています。銀行調査が行われると、預金の流れが把握されてしまうため、名義預金は簡単に見つかってしまうというわけです。
税務調査は本当にくるの?
そうは言っても、税務調査なんて本当にくるの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
実際、コロナ禍があった令和2事務年度の相続税実地調査件数は5,106件で、前期比48.0%と大幅に減少しています(令和3年12月国税庁報道発表資料より)。しかしその後、令和3事務年度には6,317件、令和4事務年度には8,196件と件数は増えています(令和5年12月国税庁報道発表資料より)。
さらに、文書や電話などによる連絡等で申告漏れ等を是正する方法(「簡易な接触」といいます)は、令和4事務年度には15,004件行われ、簡易な接触の実績の公表を始めた平成28事務年度以降で最高となりました。
コロナの時代を経て、税務署は工夫を重ねて様々な方法で調査を行うことは間違いないということです。
名義預金とみなされないために
名義預金とみなされないようにするポイントは「両者の認識の合致」と「管理処分権限の移行」です。ここでは、分かりやすくするため、祖父が孫名義の口座を作るという設定でご説明します。
両者の認識の合致とは
名義預金とみなされないためには、祖父が孫に「生前贈与」として贈与することが必要です。贈与を成立させるために、祖父が「あげるんだ」と認識し、孫が「もらうんだ」と認識しなければなりません。
現状、年間110万円までの贈与であれば贈与税はかかりませんが、祖父から孫への贈与の証拠を残すため、金額が少なくても贈与契約書を作成することも一つの手段でしょう。
管理処分権限の移行とは
贈与されたお金は、孫本人が自由に使えないと「もらった」とは言えません。印鑑・通帳・キャッシュカードはどこにありますか?祖父が持ったままでは、孫は自由に使えず、実質的に祖父の財産とみなされてしまいます。印鑑・通帳・キャッシュカードは孫が管理するようにしましょう。
また、口座を開設する銀行等の支店にも気を付けてください。孫が足を運ぶのに困難な場所であれば、誰が開設したのかと疑いをかけられることになりかねません。
もっとも近年はインターネットバンキングの普及により、各種手続をオンライン上で行えるようになりましたので、この問題は徐々になくなっていくのかもしれません。
おわりに
いかがでしたでしょうか?子や孫を思う気持ちを実現できるよう、名義預金を理解して相続対策を行いましょう!
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