相続人が先に亡くなってしまったら遺言書はどうなる?Part1|相続
<目次>
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はじめに
皆さん、こんにちは!
オリバー相続コンサルタントの名児耶です。
遺言書を作成するときに、もちろん遺言者(遺言書を作成する人)より受遺者(遺贈をされる人)が長生きすることを想定して遺言書を作成します。しかし、交通事故や病気などで遺言者より受遺者が先にお亡くなりになることもあり得ます。
今回は、そのような場合に遺産がどうなるかについてお話しさせていただきます。
受遺者が遺言者より先に亡くなった場合の遺言書の効力
例1 遺言者より遺贈の受遺者が先に死亡した場合
遺言者Aには、配偶者、子供、直系尊属なく、弟B、弟Cの兄弟がいますが、遺言者Aは弟B・弟Cと不仲で、自分が死んだら財産は全て友人Dに遺贈したいと考え、遺言者Aは友人Dに遺贈させるという遺言を作成しました。しかし、遺言者Aより受遺者Dが先に亡くなってしまいました。これにより、受遺者Dに遺贈させる遺言書は無効となり、Aの相続財産は遺言書がなかった場合と同様に法定相続人である弟B・弟Cに帰属し、弟B・弟Cの遺産分割協議により弟B・弟Cが遺産を取得します。
例2 遺言者より先に相続人が死亡した場合
遺言者Aには、配偶者、子供、両親等がなく、兄B・妹C(子供がいない)の兄弟姉妹がいて、遺言者Aは兄Bとは不仲で、妹Cと仲が良く、自分が死んだら財産を全て妹Cに相続させたいと考え、妹Cに全て相続させる遺言書を作成しました。しかし、妹Cが遺言者Aより先に死亡したため妹Cに相続させる遺言書は無効となり、財産を渡したくない法定相続人兄Bが遺産を相続することになります。
例3 遺言書の一部が有効となる場合
遺言者が受遺者の死亡以前に死亡した場合にその遺贈を無効とするもので、遺言書自体が無効になるわけではありません(民法994条)。
例えば、Aには甲不動産を、Bには乙不動産を、Cには預貯金を遺贈する遺言書が作成され、Aが遺言者より先に死亡した場合は、Aへ甲不動産を遺贈する遺言のみが無効となり、
Bへ乙不動産、Cへ預貯金を遺贈する遺言は有効です。
これにより、甲不動産については遺言書で何も決められていなかったことになり、甲不動産は法定相続人に帰属することになります。
次回は予備的遺言について
このような例は実際にあり、せっかく遺産を分けてあげたい方へ遺言書を書いても、意図しない形で財産が引き継がれることがあり得ます。特に、複雑な家族関係の方が遺言書を書く際は、専門家に相談された方が良いと思います。
次回は、このようなケースへの対策をお話させていただきます。