空き家はそのままにしておくより売却した方がお得なの?Part1|相続
<目次>
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」とは?
- 3.譲渡所得の計算
- 4.自宅を共有名義で相続した場合
- 5.まとめ
はじめに
皆さん、こんにちは!
オリバー 相続コンサルタントの名児耶です。
親から相続した実家。思い出も荷物もいっぱいあるので空き家のままにしている方も多いのではないでしょうか?そんな思いが災いしてか、総務省が2018年(平成30年)に実施した「住宅・土地統計調査」では、空き家数が848万9千戸となっており、その時点での過去最多を記録しています。
国も空き家の対応に困っています。そのままにしておくと、火災が隣家に燃え移ったり、不審者が滞在したり、不法投棄されたり、防犯上危険だったりしますので、国としてはできれば壊して建て直すとか、改修して人に貸すとか、有効活用をしてほしいのが本音です。
「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」とは?
そこで国は、相続で取得した被相続人の自宅を売却した場合、自宅売却時のみに認められていた「譲渡所得の3,000万円特別控除」を空き家にも適用させるようにしました。これを使えば3,000万円の価格で空き家を売却した場合は譲渡税がかからないことになります。これがいわゆる「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」です。
例えば、空き家でない戸建を3,000万円で売却したとして譲渡税がいくらかかるか考えてみます。買った金額が分からない場合は、取得費として売却価格の5%、つまり150万円を差し引くことができます。
そして譲渡費用として仲介手数料や登記料が差し引くことができます。もし、そこに約100万円かかったとして、残った金額に20%を掛けた金額が課税されます。この20%は、5年超所有した場合の長期譲渡の税率です。もし相続で受け取った戸建であれば被相続人が購入した取得日を引き継ぐことになりますので、長期譲渡になるケースが多いです。
譲渡所得の計算
譲渡所得の金額=売却価格-(取得費+譲渡費用)
つまり通常、戸建を3,000万円で売却する際の譲渡税を計算すると
売却価格3,000万円-(取得費150万円+譲渡費用100万円)=譲渡所得2,750万円
譲渡所得2,750万円×20%=譲渡税550万円
がかかります。
これが自宅の場合、特別控除が適用され
譲渡所得2,750万円-特別控除3,000万円=▲250万円
とマイナスになりますので譲渡税は課税されません。
ただし、自宅というのは自分自身が居住の中心として住んでいることですので、単に住民票を移しただけでは自宅とみなされませんのでご注意ください。
自宅を共有名義で相続した場合
共有名義で相続した空き家を売却する場合、共有者全員に3,000万円特別控除を使用できます。共有者が2人いれば2人分の特別控除額(3,000万円×2人)となるため、最大6,000万円の控除額となります。
まとめ
このように、相続した実家を売却する際、取得費不明の場合は高額な譲渡所得税になる可能性があります。
ぜひ知っておきたい「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」という制度ですが、この対象物件の条件が厳しいのです。