法定後見人を避けることの重要性|相続
<目次>
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.認知症対策って、なに?
- 3.実際に何とかなるでしょうか?
- 4.多くの方が何ともならなくなって...
- 5.対策を取らなかった対価は?
- 6.おわりに
はじめに
皆さん、こんにちは!
オリバー 相続コンサルタントの名児耶です。
認知症になっても相続は何とかなる?というご相談が増えてきています。
今回は、認知症対策についてお話いたします。
70歳の女性の方の「平均余命」は「19.89歳」です(厚生労働省発表「令和4年の簡易生命表」)。
これは、現在70歳の方は、90歳までお元気であることが「平均的」であり「ごく普通」であるということです。
認知症対策って、なに?
「認知症対策」とは何でしょうか。
「もし万が一、認知症になって法的な判断能力を失ったとしても、法定後見制度を使わなくてもよいようにしておくこと」これが「認知症対策」だと考えています。
しかし、多くの方がなぜか「自分だけは何とかなる」「自分だけはきっと認知症にならない」と思い込んでいます。
残念ながら、きちんとした「認知症対策」をされる方は、まだまだ少ないと言わざるを得ません。
実際に何とかなるでしょうか?
例えば、こんなお話をよく耳にしませんか。
「自分が認知症になったら、すぐに自宅を売って、そのお金で老人ホームに入れてほしい」
この願いは不可能ではありませんが、大変に時間も費用もかかるということをご存知でしょうか。
認知症になって法的な判断能力を失ってしまうと、その方が当事者となり不動産を売却することはできません。
こんなよく聞くようなお話しも、現実には大変難しいのです。
多くの方が何ともならなくなって...
では、認知症になって判断能力を失った方は、どうやって不動産を売却したらよいのでしょうか。
答えは、「法定後見人を立てて、家を売ることの許可を家庭裁判所にとる」となります。
まず家庭裁判所に法定後見人を選任してほしいという申立てをします。
その際に、病院に費用(10万円前後)を払って診断書をもらう必要があります。
申立てから家庭裁判所が後見人を選任するまでの期間は4〜5か月程度で、この間は家を売りたくても売ることはできません。
また、家庭裁判所がご家族を後見人に選ぶとは限りません。
ご家族が後見人になれる割合は年々確実に減り続けて、直近では全体の3割を切っており、7割強のケースでは司法書士や弁護士などの専門家が後見人に選任されています。
家庭裁判所が専門家を後見人に選任した場合、家族は家族が後見人になれなかったという理由で、申立てを取り下げることはできません。
さらに、後見人が選任されたとしても、自宅を売却するには家庭裁判所の許可が必要です。
後見人は不動産の売却が「施設に入所するため」などの正当な理由があることを家庭裁判所に申立て、家庭裁判所の許可が出てからでないと、自宅を売却することはできないのです。
対策を取らなかった対価は?
そして、家を売却できたとしても、後見人の業務は被後見人が亡くなるまで続きます。
司法書士などの専門家が後見人に選任された場合、当然無料ではありません。
毎月、決まった金額の報酬(被後見人の財産額5,000万円超の場合、月5〜6万円が目安)を、被後見人が亡くなり後見業務が終了するまで、支払い続けなければならないのです。
また、自宅売却などの特別な業務を後見人に行ってもらった場合、その内容に応じて別途数十万円程度の報酬が発生します。
売却する不動産会社も、登記手続きしてくれる司法書士も、自宅を買う人も、老人ホームの人も、銀行も、あなたの時だけ、特別に「目をつぶって」希望をかなえてくれることはありません。
お元気なうちに、ご家族のことを考えて専門家と共に準備しておくことが重要です。
おわりに
オリバーでは、認知症対策を含め、 相続の基礎から分かりやすくご説明をする相続対策基礎セミナーを定期的に開催しております。参加費は無料です。是非、ご参加ください。
また、個別のご相談も承っております。提携の司法書士や税理士と連携して相続手続きを支援しております。相続手続きに関するご不明点や手続きのご用命などございましたら、いつでもご連絡ください。