仏具の購入による相続対策の注意点|相続トラブル回避シリーズ
<目次>
はじめに
仏具等の祭祀財産は相続税がかかりません。一般的には、仏具等の購入で相続財産を減らすことができます。相続対策として検討されているケースも多くありますが、場合によっては非課税財産として認められないこともあるため注意が必要です。
・換金性の高いものや骨董的価値のある仏具
「相続財産を減らすために純金製の仏具を購入しました」
非課税となる相続財産は、日常礼拝をしているものが対象で、換金性の高い純金製の仏具や投資対象となる骨董的価値のあるものについては、祭祀財産であっても税務調査で非課税財産として認められない可能性があります。認められなかった場合、本来おさめるべき相続税とは別に延滞税や過少申告加算税などのペナルティが課せられます。また、純金製の仏具の場合、非課税財産と認められたとしても、相続後に売却すると購入価格以上の値段が付くことは難しく、結果として損をしてしまうこともあるようです。
・相続開始後の仏具の購入
「墓地・墓石をローンで購入しました」
日常礼拝用の祭祀財産でも、非課税となるのは被相続人の生前に購入しているものに限られる点に注意が必要です。例えば、墓石購入のローンが残ったまま亡くなられた場合、そのローンの残債は相続財産を減らす債務控除の対象となりません。また、相続人が相続発生後に相続した財産から仏具等を購入したとしても非課税財産の対象になりません。確実に非課税財産にするには、被相続人が生前に現金で購入するなどの対応が必要です。
実際に財産を守る効果は
祭祀財産の購入は相続税対策の一つとしてよく知られていますが、相続税対策の手法には生前贈与や不動産の活用、養子縁組、小規模宅地等の特例適用のための対応、生命保険等様々あります。また、実際に財産を守る効果を持たせるには、ご家族の構成や財産内容などにより、組み合わせるべき対策が異なります。